自宅でできる着物のシワ取り|アイロンがけの基本と、プロに任せるべき境界線

自宅でできる着物のシワ取り|アイロンがけの基本と、プロに任せるべき境界線
k.murata07
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着物のアイロンがけは、自分を整える時間

「お気に入りの着物にシワがついてしまったけれど、自分でアイロンをかけても大丈夫かな?」と不安に思ったことはありませんか?

大切にしている着物だからこそ、失敗して生地を傷めてしまうのが怖いですよね。でも、実は正しい知識と準備さえあれば、自宅でも安全にシワを伸ばすことができるんです。

シュッとシワが伸びた着物をまとうと、不思議とこちらの背筋までピンと伸びるような心地よさがあります。自分自身を整えるような気持ちで、着物のメンテナンスを始めてみましょう。


準備が肝心!着物のアイロンがけ 3つのポイント

着物のアイロンがけで最も大切なのは、生地を直接熱から守ることです。まずは以下の3点を確認しましょう。

テカリを防ぐ必須アイテム「当て布」

着物の生地に直接アイロンを当ててしまうと、熱で生地が傷んだり、表面がピカピカと光る「テカリ」の原因になったりします。

これを防ぐために必ず用意したいのが「当て布」です。白い綿のハンカチや手ぬぐいが適しています。色が移るのを防ぐため、必ず無地で清潔なものを選んでくださいね。

素材に合わせた温度設定の確認

着物の素材によって、耐えられる温度は全く異なります。まずは着物の素材を確認し、アイロンの温度を正しく設定しましょう。

素材アイロンの推奨温度注意点
正絹(シルク)低温(110℃〜120℃)熱に非常に弱いため、手早く動かす
木綿・麻中温〜高温シワが寄りやすいため、しっかり伸ばす
ポリエステル低温〜中温熱で溶ける可能性があるため慎重に
ウール中温当て布を厚めにする

広いスペースと「平らな場所」の確保

着物は広げるとかなりの面積になります。一般的なアイロン台の上だけでは、せっかくシワを伸ばした部分が床に垂れて、また新しいシワが寄ってしまうことも。

そこでおすすめなのが、床にきれいなシーツや着物専用の衣装敷(いしょうじき)を敷いて作業する「床がけ」です。広いスペースを確保することで、大きな身頃(みごろ:体の前面や背面を覆う部分)もスムーズにシワを伸ばせます。


【実践】着物のアイロンのかけ方・基本ステップ

準備が整ったらいよいよ実践です。失敗を防ぐためのステップを確認しましょう。

まずは「目立たない場所」でテストする

いきなり目立つ胸元や背中からアイロンを当てるのは禁物です。まずは裾の裏側など、表から見えない場所でテストをしましょう。

「色落ちや変色はないか?」「生地が極端に縮まないか?」を慎重に確認してから、全体に進むのがおすすめです。

シワを伸ばす順序(衿→袖→身頃)

効率よく、かつ余計なシワを作らないための順番は以下の通りです。

  1. 衿(えり):顔まわりの印象を決める大事な部分から。
  2. 袖(そで):面積が小さく扱いやすい場所。
  3. 身頃(みごろ):最後は最も広い背中や前身頃を仕上げます。

この順番で進めると、すでにアイロンをかけた部分を何度も動かさずに済むため、仕上がりが格段にきれいになります。

スチームは原則NG?ドライアイロンが推奨される理由

ここが一番の注意点です。特に正絹(シルク)の着物の場合、スチーム機能は絶対に使わないでください。

シルクは水に弱く、スチームの水分が「水シミ」になったり、そこだけ生地が縮んで波打ったりする原因になります。基本は「ドライ」設定で行いましょう。

どうしても頑固なシワがある場合は、当て布を少しだけ湿らせてその上からドライアイロンを当てるか、霧吹きを遠くから吹きかけ、しっかり乾かしながらアイロンを当ててください。


素材別・知っておきたいアイロンがけの注意点

素材の特性を知ることで、より失敗のリスクを減らすことができます。

【正絹(シルク)】最も繊細。低温・短時間で仕上げる

最もデリケートな素材です。高温で長時間アイロンを当てると、生地のタンパク質が変質して硬くなってしまいます。「低温で、サッサッと手早く動かす」ことを意識してください。

【木綿・麻】シワになりやすいが熱には強い

浴衣などに多い素材です。シワになりやすい反面、熱には比較的強いのが特徴です。少し高めの温度でしっかりプレスしても大丈夫ですが、やはり当て布は忘れずに。霧吹きで少し湿り気を与えると、パリッと美しく仕上がります。

【刺繍・絞り】アイロンを避けるべき特殊な加工

豪華な刺繍や、ポコポコとした立体感が特徴の絞り加工が施されている部分は要注意です。

  • 刺繍:糸が引っかかったり、熱で光沢が失われたりします。
  • 絞り:アイロンで潰してしまうと、二度とその立体感は戻りません。

これらの部分はアイロンを直接当てるのは避け、少し浮かせて蒸気を当てる程度にするか、思い切ってその部分は触らないようにしましょう。


無理は禁物!プロのクリーニングに任せるべきシワとは?

着物のアイロンがけ

「自分の手では負えない」と感じた時は、無理をせずプロの手を借りるのが正解です。

自分では取れない「深いシワ」と「古いシミ」

長期間畳んだままにしてついた深い折り跡や、何年も前のシワは、家庭用アイロンでは太刀打ちできません。無理に押し付けると生地を傷めるだけです。

プロのクリーニング店では、専用の蒸気設備とプレス機を使い、生地を傷めずに繊維の奥からシワをリセットしてくれます。

着用後の「湿気取り」がシワ予防の第一歩

アイロンの手間を減らす一番の方法は、シワを定着させないことです。

  • 脱いだらすぐに「着物ハンガー」にかけ、数時間〜一晩陰干しして体温や湿気を飛ばす。
  • 乾いたら、正しく「本だたみ」(着物の基本の畳み方)で保管する。

これだけで、次に着る時のシワの悩みはぐっと軽減されますよ。


まとめ

着物のアイロンがけで大切なのは、以下の3つです。

  1. 必ず「当て布」をする
  2. 素材に合った「適温」を守る
  3. 基本は「ドライ」でかける

自分の手で一枚の布を整えていく時間は、着物への愛着をより一層深めてくれます。少しずつ慣れて、お気に入りの一着をいつでも気持ちよく着られるようになりたいですね。

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なつめ
なつめ
IT系フリーランス
20代後半のIT系フリーランス。
1日の大半をPCと向き合って過ごす反動から、手仕事の温もりが残る「伝統工芸」や、休日の「和装」に魅了される。
デジタルで効率化された毎日に、あえて手間のかかる「和の文化」を取り入れる心地よさを発信中。
息抜きは美味しいお茶を淹れてマンガやアニメを見ること。
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